メコン河は世界で10番目の大河(総延長4,000km以上)で、チベットに水源を有し、中国、ミャンマー、タイ、ラオス、カンボジア、ベトナムの6カ国の人々の生活と経済を支えている。下流のメコンデルタは世界でも有数の水田地域である。
メコン河流域国の開発の技術的、財政的支援を行うため、1957年に国連の支援により流域国で構成されるメコン委員会が設立された。しかしベトナム戦争、カンボジアの内戦のため、1970年代まで事実上開発は凍結される。その後、世銀、日本・西欧各国の資金供給により、ダム建設、道路・鉄道網、電力供給網の整備などの開発が積極的に行われた。一方で、住民の強制移住や反対住民への弾圧、環境への無配慮、などの批判を浴びてきた。
1993年にカンボジアの復帰を迎えたメコン委員会は、1995年の新合意でメコン河委員会(MRC)へ名称を変更し、「持続可能な開発」の概念を目標として掲げることに成功した。1999年後半からは、個別環境プログラムの統合、プロジェクトへの環境の視点の導入、環境問題の意識向上などを目標とするMRC環境プログラムに着手している。
メコン河を持続可能な形で利用するためには流域国が協調して取り組むことが不可欠である。MRCには、現在メコン河本流で凍結されているダム建設を未参加国である中国が行うなど未参加国(他、ミャンマー)に関わる問題、NGO・住民との対話協力の欠如、環境プロジェクトの不十分さなど課題は多くある。しかしMRCは河の利用に関する公平な取り決めを多国間で協議・実施するアジアのモデルの一つとなることが期待される。
(菊地可納子)